「自分が先頭に立って、チームをグイグイ引っ張らなきゃ…」 新しくリーダーや管理職を任されたとき、そんなプレッシャーに押しつぶされそうになっていませんか?
世間一般でイメージされる「強いカリスマ性を持ったリーダー像」と自分を比較して、「私には向いていないかも…」と落ち込んでしまう人は少なくありません。 しかし、リーダーだからといって、常に完璧で先頭を走り続ける必要はまったくないのです。
まずは肩の力を抜いて、さんぽみちでのある日の出来事を覗いてみましょう。
【ましろとアヒルの子:さんぽみちの、みつけもの】

みんなー!こっちについてきてー!って、あれれ!?あっちに行ったりこっちに行ったり、全然まとまらないよ〜!
ましろちゃん、無理に『前を歩こう』としすぎているのが原因みたいだね。アヒルの子たちのペースと合っていないよ
リーダーは先頭じゃなくて、後ろからサポートする『サーバント・リーダーシップ』という方法もあるのよ。ほら、試してみて?
強いリーダーシップがなくても、チームはまとまります。 今回は、ましろが気づいた「後ろから支えるリーダーシップ」について、具体的な心理学の理論や、リアルな現場の体験談を交えながら深く掘り下げていきます。
なぜ「先頭で引っ張らなきゃ」と焦ってしまうのか
「リーダーシップ=先頭に立ってグイグイ引っ張るもの」 この固定観念こそが、あなたの首を絞めている本当の原因です。
ひなげしが客観的に観察したように、無理に前を歩こうとするほど、チームメンバーの自発性やペースとズレが生じてしまいます。 なぜ私たちは、これほどまでに「引っ張るリーダー」に固執してしまうのでしょうか。

心理学から見る「インポスター症候群」の罠
真面目で協調性のある人ほど陥りやすいのが、心理学で提唱される「インポスター症候群(詐欺師症候群)」という心理状態です。
これは、自分の実力や実績を正当に評価できず、「自分はリーダーの器ではない」「いつか実力不足がバレてしまう」と恐れてしまう心理傾向を指します。 この状態に陥ると、「もっと完璧なリーダーを演じなければ」と過剰に自分を追い込み、本来の自分の性格とは合わない「カリスマ型リーダー」を無理に演じようとしてしまいます。
リーダーシップの「PM理論」が教えてくれること
また、リーダーシップの行動を分析した「PM理論(三隅二不二 提唱)」をご存知でしょうか。 この理論では、リーダーシップを以下の2つの機能で構成されるとしています。
- P機能(Performance): 目標達成に向けてチームを強く引っ張る力
- M機能(Maintenance): 人間関係を良好に保ち、チームをまとめる力
多くの人は「P機能」ばかりをリーダーシップだと勘違いしています。 しかし、チームが長期的かつ健全に機能するためには、「M機能(メンバーへの気配りやサポート)」が絶対に欠かせません。 あなたの持つ優しさや傾聴力は、立派なリーダーシップの才能なのです。
【著者のリアルな葛藤】突然の「チーフ」抜擢と、引っ張れない自分
ここで、単なる理論ではなく、私自身が現場で直面した生々しい失敗と気づきをお話しさせてください。
それは、突然やってきた辞令でした。 組織の中で「チーフ」という役職に就き、部下を持ち、グループをまとめる立場になったときのことです。 上司からは「これからは君がグループを引っ張っていってくれよ」と期待の言葉をかけられました。
プレッシャーと空回り
しかし、私の本来の性格はかなり控えめです。 誰かの前に立って、声高にビジョンを語り、グイグイとメンバーを牽引していくようなカリスマ性は持ち合わせていませんでした。
「チーフになったからには、私がすべてを決断して、みんなを引っ張らなければ」 そう思い込んだ私は、無理に威厳を保とうとしたり、一人で業務の方向性を決めようとしたりして、完全に空回りしていました。
ある時、部下の一人から「最近、一人で抱え込みすぎていませんか?私たちをもっと頼ってください」と指摘されたのです。 ハッとしました。私は「前を歩くこと」に必死で、後ろをついてきてくれるはずのメンバーの顔をまったく見ていなかったのです。
持ち味を活かした「調整役」へのシフト
そこで私は、自分には向いていない「引っ張るリーダー」を演じるのをやめました。 代わりに、自分が昔から得意だったことにフォーカスしたのです。
私は、皆と協力して仕事を進めることや、持ち前のコミュニケーション能力で込み合った課題を整理することは得意でした。 各部署間の利害が対立するような複雑なプロジェクトでも、事前に根回しを行い、関係者全員が納得する落としどころを見つける「調整役」としてなら、チームに貢献できると考えたのです。
- メンバーが実務でつまずいている部分をヒアリングする
- 他部署との交渉を私が引き受けて、メンバーが作業しやすい環境を作る
- スケジュールが遅れている人がいれば、業務を分散させる
これを徹底した結果、チーム内の風通しが劇的に改善し、目標もスムーズに達成できるようになりました。 「別に、先頭で引っ張らなくても、リーダーは務まるのだ」と、心から実感した瞬間でした。
今日からできる「後ろから支える」アクション
そっか!無理に前を歩かなくても、自分の得意なことでチームを支えればいいんだね!
その通り。私が教えた『サーバント(奉仕型)リーダーシップ』ね。具体的にどんな行動をすればいいか、3つのステップで整理してみましょうか
ひまわりが教えてくれたように、現代の組織では「サーバント・リーダーシップ」が非常に効果的です。 今日から現場で実践できる具体的なアクションを3つ紹介します。
1. 「どうしたの?」と問いかける(傾聴の姿勢)
まずは指示を出すことをやめ、メンバーの現状や困りごとをヒアリングする「1on1(個別面談)」の時間を作りましょう。
- NG: 「進捗どうなってる?早く終わらせて」
- OK: 「今、一番困っていることはある?何か手伝える?」
相手の話を遮らずに最後まで聞くことで、心理的安全性が担保され、メンバーから自発的な報告や相談が上がりやすくなります。

2. 障害物を取り除く「黒衣(くろご)」に徹する
メンバーが目の前の仕事に集中できるよう、環境を整えることに全力を注ぎます。
- 煩雑な事務手続きを巻き取る
- 他部署との面倒な調整やクレーム対応をリーダーが引き受ける
- 不足しているツールや情報を手配する
舞台を成功させるために裏方で走り回る「黒衣」のように、メンバーが働きやすい土台を作ることが最高のサポートになります。

3. 「助けて」と言う勇気を持つ(自己開示)
完璧なリーダーを演じる必要はありません。 ましろのように、「ここが分からないから、あなたの力を貸してほしい」と素直に伝える自己開示が、実はチームを強くします。
リーダーが弱さを見せることで、メンバーは「自分が必要とされている」「この人を支えたい」と感じ、結果的にチーム全体の結束力と自律性が高まっていくのです。
さんぽみちの図書室:信頼できるエビデンスとおすすめの一冊
サーバント・リーダーシップは、単なる精神論ではなく、しっかりとした研究に基づいた理論なんだよ。証拠(エビデンス)を提示しようか
ここで、今回のテーマをより深く学ぶためのおすすめの書籍とデータをご紹介します。
【紹介データ/論文】
サーバント・リーダーシップが、チームの心理的安全性やパフォーマンス向上に大きく寄与することは、数々の研究で実証されています。 (Greenleaf, R. K., 1977. “Servant Leadership: A Journey into the Nature of Legitimate Power and Greatness.” Paulist Press.)
【おすすめの書籍】 『サーバント・リーダーシップ』(ロバート・K・グリーンリーフ著、英治出版)
「リーダーはまず、相手に奉仕することから始まる」という、新しい時代のリーダー像を決定づけた名著です。 従来の「支配型」ではなく、メンバーの成長を支援し、コミュニティを築き上げるプロセスが具体的に記されています。リーダーとしての在り方に悩んだとき、辞書のように何度も読み返したくなる一冊です。
あなたらしいリーダーシップの形へ

リーダーだからといって、無理に自分を大きく見せたり、性格を変えたりする必要はありません。
メンバーの変化を細やかに観察し、困っている時に優しく声をかけられる。その「控えめだけれど誠実な性質」こそが、これからの時代に求められる最高のリーダーシップに繋がります。 先頭に立って引っ張ることだけが正解ではありません。
ひなげし、ましろ、ひまわりたちと一緒に、少しずつあなただけの「支えるリーダー」としての自信を育てていきましょう。 あなたの新しい挑戦を、心から応援しています!

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