ううっ、早く仕事を進めたいのに、あの部署の確認作業のせいで全然進まないよ〜!絶対にお邪魔だよ〜!
ふむふむ……ましろちゃんは『スピード』を目指しているけれど、相手は『ミスを防ぐこと』を目指しているみたいだね
「あの部署さえなければ仕事がスムーズに進むのに……」 会社で働いていると、他部署の細かい確認作業や独自のルールに振り回されて、こんな風に疲れてしまうことはありませんか?
自分は前に進みたいのに、背後から急ブレーキをかけられると、どうしても相手の存在が「邪魔」に見えてしまいますよね。 今回は、そんな他部署へのモヤモヤを解消するヒントを、心理学の理論や実践的なテクニックを交えながら深掘りしていきます。

なぜあの部署は「邪魔」に見えるのか?すれ違いの正体
仕事を進めたい時、重箱の隅をつつくような細かい確認や、突然の差し戻しをしてくる他部署は、まるで「自分の仕事を妨害する敵」のように見えてしまうものです。 しかし、その原因は相手の性格が悪いからではありません。
実は、「評価されるゴール(目的)の違い」が、組織内に大きなすれ違いを生み出しているのです。
著者のリアルな失敗談:「突然入ってきて偉そうだな」
ここで、私自身の生々しい実体験をお話ししましょう。 ある日、私が自分の担当業務を急いで進めようとしていたところ、上司から「この件は、○○部の了承がいるよ」と告げられました。
「え?あの部署って今回の件に何の関係があるの?」 心の中でそう叫びながらも、私は「まあ、組織のルールだから仕方ない」と割り切って、該当部署へ承認依頼を投げました。
しかし、1週間経っても一向に手続きが進みません。 焦り始めた頃、○○部の新しい担当者から突然こんなメールが届いたのです。 「これって何の件ですか?一から説明してください。判断のための資料も用意してください」
正直なところ、「突然横から入ってきて、なんて偉そうなんだ……」と強い苛立ちを覚えました。 それでも仕事を進めなければならないため、ぐっと堪えて資料を作成し、返信しました。
ところが、それで終わりではありません。 提出するたびに「このデータも」「あの資料も」と次から次へと追加要求が続き、最終的に承認が得られるまで数週間もかかってしまったのです。 当時の私は疲労困憊で、「本当に邪魔な部署だなあ……」と深く恨んでいました。
お互いが自分の「正義」を貫いているだけ
しかし、後になって冷静に振り返ると、見えてきた事実がありました。 営業や企画などの部署が「スピードと前進(アクセル)」を求められ、成果で評価されるのに対し、管理や審査・品質保証などの部署は「ミスやリスクをゼロにすること(ブレーキ)」が仕事です。
彼らは「トラブルを防いだこと」で評価されるため、当然ながら慎重になります。 つまり、お互いが自分の部署の正義を貫いているだけなのです。
相手が守っている基準や背景が見えないと、単に「自分の仕事を邪魔されている」という強いストレスに変わってしまいます。 この見えない壁こそが、イライラの本当の正体だったのです。

心理学で紐解く「部署間の対立」のメカニズム
「部署間の対立って、なんであんなにこじれちゃうんだろう?」 ひまわりは必ず2本ある尻尾をゆらゆらと揺らし、黄色い瞳をキラキラと輝かせながら、マイペースで自立した視点から疑問を投げかけた。
「……相手の立場がわからないと、不安になっちゃうからかもしれないね」 くるみは優しく微笑み、周囲にふんわりとした癒しを与えながらそっと答えた。
部署間の対立は、個人の性格の不一致ではなく「集団の心理メカニズム」によって引き起こされることが、心理学の研究でも証明されています。
泥棒洞窟実験から学ぶ「共通のゴール」の重要性
社会心理学者ムザファー・シェリフが行った有名な研究に、「泥棒洞窟実験(Robbers Cave Experiment)」(1961年)があります。
この実験では、初対面の少年たちを2つのグループに分けただけで、お互いに強い敵対心を抱き、相手グループを攻撃するようになることが確認されました。 人間は「自分たちの内側(内集団)」と「外側(外集団)」を分けるだけで、無意識に相手を敵視してしまう性質があるのです。
しかし、この実験には続きがあります。 対立していた2つのグループに「双方が協力しないと解決できないトラブル(上位目標)」を与えたところ、次第に対立が解消され、協力関係が生まれました。
会社における「部署間の対立」も全く同じ構造です。 「あっちの部署」「こっちの部署」と分断されている状態では対立が生まれますが、「会社を良くする」「お客様のトラブルを防ぐ」という共通のゴール(上位目標)を認識することで、関係性を劇的に改善できるのです。
書籍に学ぶ、他部署と連携する技術
このメカニズムを現代のビジネスに落とし込んでいるのが、沢渡あまね氏の著書『他部署と連携・協力して仕事を進める技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)です。
本書では、組織内の見えない壁を壊し、異なる論理で動く相手とどう歩み寄るべきかが具体的に解説されています。 「相手のKPI(評価基準)を知る」「共通言語を見つける」といった実践的なノウハウは、他部署との摩擦に悩むビジネスパーソンにとって大きな助けとなるでしょう。
他部署との摩擦をゼロにする!今日からできる3つの対策
ブレーキ役の部署に振り回されず、自分の仕事をスムーズに通すためには、ちょっとしたコミュニケーションの工夫が必要です。 ここでは、今日からすぐに実践できる3つの具体的なアクションをご紹介します。
1. 「NGの基準」を事前に聞き出す
仕事が差し戻される最大の理由は、「相手が何をチェックしているのか」を知らないまま提出してしまうことにあります。
作業を本格的に始める前に、まずは相手の部署にヒアリングを行いましょう。
- 「今回の案件では、どの部分を重点的にチェックされますか?」
- 「過去にNGになったケースがあれば教えてください」
- 「何が揃っていれば一発で通りますか?」
このように、相手の審査基準(チェックリスト)を先に聞き出してしまうのです。 私自身の失敗談でも、最初に「どういった資料が必要ですか?」と全体像を確認していれば、数週間も無駄にすることはなかったはずです。

2. 相手の「安心ワード」を添えて提出する
管理部門や審査部門は、「リスク」を極端に恐れる傾向があります。 そのため、依頼を投げる際に相手が安心できる言葉を添えるだけで、驚くほどスムーズに承認が下りるようになります。
- 「過去の〇〇の案件と類似しており、前例があります」
- 「懸念される〇〇のリスクについては、すでに対策済みです」
- 「法務の〇〇さんにも事前に確認をとっております」
こうした「安心ワード」が一つあるだけで、相手の警戒心は一気に解けます。 相手に「この人は私たちの基準を理解してくれている」と思わせることが、スピーディな決裁を引き出す最大のコツです。

3. 「共通の敵(トラブル)」を設定する
心理学の「泥棒洞窟実験」で解説した通り、共通の目標や課題を持つことで、敵対関係は協力関係に変わります。 相手を「自分の仕事を邪魔する敵」にするのではなく、「一緒にトラブルを防ぐための味方」へと変えてしまいましょう。
依頼をする際、少し頼るようなスタンスを取るのが効果的です。
- 「後でお客様からクレームにならないよう、事前にプロの目で見ていただきたくてご相談しました」
- 「現場だけでは気づけないリスクがあるかもしれないので、お力をお借りできませんか?」
このように「共通の敵(未来のトラブルやクレーム)」を設定し、それを防ぐために協力してほしいと持ちかけるのです。 「邪魔する人」から「守ってくれる頼もしい味方」へと相手の役割を変えることで、相手も前向きに協力してくれるようになります。

まとめ:ブレーキがあるからこそ、安心して全力で走れる!
いかがでしたでしょうか。 他部署の厳しいチェックや細かい指摘は、一見すると「ただの邪魔」に思えるかもしれません。
しかし、それはあなたが後で大きなトラブルに巻き込まれたり、重大なミスを犯したりしないための「大切な安全装置」でもあるのです。 高性能なブレーキがついているからこそ、車は安心して全力でアクセルを踏むことができます。
相手のルールを知れば、パズルみたいにピタッとハマるよ!
そっか!ブレーキ役の人とも最初から仲良くなれたら無敵だワン!
事前確認をしっかりして、手戻りをなくそうね!
いつでも安全確認、手伝うよ
明日からは、職場の風景が少し違って見えるかもしれません。 少しだけ視点を変えて、相手の「ルール」や「正義」を味方につけてみませんか? そうすれば、きっとあなたの仕事はもっとスムーズに、そしてもっと楽しくなるはずです。



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